ヨッドとは
ヨッド(ヨード)とは、3つの天体からなる2等辺三角形のアスペクトです。
セクスタイル(60度)で結ばれる2つの天体が土台となり、それぞれが頂点の天体とクインカンクス(インコンジャンクト)(150度)で結ばれています。
天体の間には緊張感がただよい、逃げ場のないような圧力が感じられるアスペクトです。
運命のような強制力をもつとされていることから、「神の指」と呼ばれています。
西洋占星術の中では比較的新しいアスペクトであり、解釈が難しいとされるアスペクトパターンのひとつです。
それでは、さっそくヨッドの特徴をみていきましょう。
ヨッドをつくる3つの天体
図の通り、ヨッドは頂点となるAの天体と、土台となるBとC、合わせて3つの天体で形成されます。
BとCの天体は、セクスタイル(60度)となるので、お互いに調和の取れた関係となります。
しかし、ここで問題となるのが、AとB、AとCを結ぶクインカンクス(150度)の関係です。
クインカンクスは、お互いに共通点を持たない天体を結ぶアスペクトです。
例えば、牡羊座と乙女座は、星座が5つ離れているのでクインカンクスを形成します。
牡羊座は、男性星座(陽)・活動宮・火のエレメントであるのに対して、乙女座は女性星座(陰)・柔軟宮・地のエレメントに属しています。
この2つの星座に共通点を見いだすのは難しいでしょう。
ヨッドの頂点となる天体は、共通点のない2つの天体とバランスを取らなければなりません。
しかも、アスペクトパターンが作られていることで、この頂点となる天体には逃げ場がなく、常に緊張状態を強いられます。
自分らしさを発揮する機会が失われ、もどかしさを抱えることになるのです。
ヨッドの意味
ヨッドにおける困難な課題
ヨッドの土台となる2つの天体は、お互いに共通点があるので、同じ目標に向かって働くことができます。
しかし、頂点となる天体は、共通点がないことから、土台となる天体の意思をくみ取ることができません。
頂点となる天体は、目的もわからないまま、2つの天体によって動かされることになります。
頂点の天体が動こうとするたびに、2つの天体が全く違う方向へ引き戻そうとするのです。
出生図にヨッドを持つ人は、まさにヨッドの頂点と同じような状況に陥ります。
やりたいことがあっても、常に何かが邪魔をしてくるような感覚があるかもしれません。
そして、無理やり推し進めたとしても、問題が発生したり、方向転換を強いられたりします。
目的もわからないまま、ある決められた方向へ引っ張られているような感覚です。
そのせいで、精神的な不安や、ストレスを抱えることになるかもしれません。
しかし、ストレスを逃れようとすることが、自身の「運命」に気がつくきっかけとなる場合もあります。
思うままに進んでいては、何らかの邪魔が入るので、自分の意志と反しても邪魔されない道を探したくなるのです。
そして次第に、自らに与えられた「特別な目的」を意識するようになるでしょう。
その目的が何なのかわからなくても、強力な力が人生に働いていると感じるようになります。
物事ができるだけ上手く進むような方向を、手探りで探していくことになるでしょう。
ヨッドの解釈
ヨッドは、まだまだ議論の余地がある複合アスペクトです。
その役割についても様々な解釈がなされているので、ここでいくつかご紹介します。
ひとつのテーマを深める
出生図にヨッドがある人は、ひとつの分野を極めることが多いといわれています。
自らこれをやると決めるのではなく、運命によって定められたテーマを手探りで深めていくイメージです。
それなので、自分が今どこを歩いているか分からなくなることもあるでしょう。
今までやっていたことをやめて、突然新しいことを学んだり、別の場所へ移り住んだり、一見共通点のないように思われる、さまざまな経験を積むことになるかもしれません。
そして、それらがすべて「ある目的」のために必要だったと気づくことがあるでしょう。
知らないうちに、基礎を固めていたような感覚です。
目の前のことを淡々とこなしていくことで、(気づかないうちに)その分野のプロフェッショナルとなり、生まれ持った素晴らしい才能が開花していることがあるでしょう。
精神的な成長
自らに困難な状況を課して、精神的に成長しようとする働きです。
この人生で伸ばしたいテーマのようなものがあるかもしれません。
例えば、この人生を奉仕のために使おうと決めた人もいるでしょう。
または、何がなんでも自分らしく生きると決めた人もいるかもしれません。
さらには、次の世代を生きる人たちのために、助けになりたいと思う人もいるでしょう。
難しい状況をひとつずつ乗り越えることで、人生からより多くを学びたいという働きをあらわしています。
生まれた家系のパターン
ヨッドは、先祖や家系の問題に関係があるといわれています。
ヨッドを持つ人は、今まで何世代にもわたって続いた家系のパターンを壊すというものです。
ヨッドを持つ人が生まれることで、その家系の問題に光が当たります。
例えば、今まで手つかずだった側面があきらかになったり、前進するために変化が求められたりと、大きな影響を与えることになるのです。
ヨッドを持つ人が受け持つ役割は決して簡単なものではないでしょう。
しかし、その働きによって家系全体が癒やされる機会を得られることがあります。
ヨッドの使い方
出生図にヨッドを持つ人は、流れに身を任せるのに慣れなくてはいけません。
時には、やりたいことをあきらめたり、空白のような期間があったりするかもしれません。
ヨッドの土台となる2つの天体が、常に頂点となる天体を調整してくるので、いつも軌道修正されているような気分になります。
そのもどかしさに慣れながら、ただ目の前にあることに集中しなくてはならないでしょう。
ヨッドの強力なエネルギーを使いこなすには、努力と忍耐が必要です。
それでも、あるときから自身の成長がみえるようになります。
人生に不思議な力が働いていることが、よりはっきりとわかるようになるでしょう。
そうすると、ヨッドと本当の意味で同調できるようになります。
人並み外れた才能を発揮することも珍しくありません。
独自の能力を開花させ、影響力を持つこともあるでしょう。
それでも、ヨッドを持つ人が望んでいるのは、自身の才能をひけらかすことではなく、与えられた使命を果たすことだと思います。
その使命を受け入れることで、ヨッドの神秘的なエネルギーを自由に使えるようになるでしょう。
ヨッドの土台となる2つの天体から動かされるのではなく、今度は、頂点となる天体が自らの目的を叶えるために、土台となる天体を動かすようになるのです。
複合アスペクトは、アスペクト単体よりも強力なエネルギーを放ちます。
その分、上手に使いこなす必要がありますし、ヨッドの場合は困難を極めます。
人生をかけて取り組むくらいに、長い時間をかけて取り組む課題です。
ですから、焦らずゆっくりと向き合っていきましょう。
進んでいないと思える時ほど、実はめきめきと力をつけているものです。
全てのアスペクトがそうであるように、ヨッドもまた、成長をもたらしてくれる贈り物です。
与えられた大きな運命に身を任せてみましょう。
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございました。
今回は、「ヨッド」という珍しい複合アスペクトの特徴について解説しました。
ヨッド以外の複合アスペクトについても解説しているので、ぜひチェックしてみてください。